2009年3月アーカイブ

WEコラボ研究2008研究報告書、ウェブページにアップしました!

  WE2008_houkoku.jpg厚生労働省「平成20年度障害保健福祉推進事業(障害者自立支援調査研究プロジェクト)」の指定を受けて進めてまいりましたWEコラボ研究2008も一区切り。

本ブログ左上のウェブページ「WEコラボ2008研究報告書」をクリックしてください。各章ごとにPDFで全文掲載してあります。ご一読下さいますようご案内申し上げます。

 

◎WEコラボin東京、2008年度のファイナルセッションを無事終了致しました。

東京もいよいよ桜の開花宣言が出された3連休の中日。年度末の多忙な時期にもかかわらず、教育・福祉・行政等の多分野から全体で70名を超える参加をいただき、上掲の研究報告書をもとに、3つのセッションを充実感をもって実施することが出来ました。特に、第3セッションでは厚生労働省で長らく専門官として活躍された大塚晃さん(上智大学教授)、東京大会に品川区心身障害者福祉会館館長として協力下さった田中正博さん(全国地域生活支援ネットワーク代表)、児童畑にも造詣の深い青木建さん(厚生労働省障害福祉専門官)、そして発達障害・引きこもりのエキスパートである日詰正文さん(厚生労働省発達障害対策専門官)をお迎えして、WEコラボ研究への期待と課題を検討できたのが何よりもの収穫でした。記して感謝するとともに、その要旨を書き込んでおきます。

◎青木建さん(厚生労働省障害福祉専門官)から

虐待について言えば、早期発見・早期対応(救出)を児童相談所が行うという枠組みから、虐待の予防や家族の再統合も含めて、地域のネットワークをどのように形成し、実践していくかが課題。特に市町村レベルでどのような支援を構築していくかが問われており、その点に取り組むWEコラボ研究であって欲しい。

◎日詰正文さん(厚生労働省発達障害対策専門官)から

一つは発達障害のみならず、ひきこもりも含めて問題解決型のチームアプローチに加え、長期にわたるチームアプローチ、必要な時に再結成できるようなチームアプローチがどうすれば可能かを探って欲しい。発達障害の場合には成人になって課題が出たときに幼児期の関わりがわかる、あるいは社会参加にチャレンジするまでに平均3~4年かかるひきこもりを考えるとどうしても必要になってくる。二つめとして、障害者施策の対象者にはなりにくい人へのアプローチについて、労働ベース、司法ベースのネットが形成されつつあるが、こことの協働がなかなか難しい。福祉・教育に加えてどうすればコラボできるか、その解明に期待している。

◎大塚晃さん(上智大学教授)

個別支援計画は詰まるところ教育や障害福祉サービスの質を担保することであり、それが我が国のスタンダード、ミニマムとして確保されることが目的のはず。大きな格差があることになれてしまっているという現状こそが問題であって、権利として保障されるべき実態を創っていくと言うところにWEコラボの目的があるという点を見失わないようにしてほしい。その意味ではユーザーである本人・保護者とのコラボレーションも極めて重要であり、実践・研究としても有用なはず。

◎田中正博さん(全国地域生活支援ネットワーク代表)

行動援護というサービスがなかなか広まらない現状の背景に、家族・学校・福祉サービスといったコラボレーションの弱さ、相談支援事業の基盤の弱さや自立支援協議会が未成熟といった課題等がある。行動障害をつくり出すような支援環境のまま、行動障害を示す当事者を対象としたサービスを提供し続けるという矛盾・悪循環をどのように断ち切っていくか、というあたりにWEコラボの大きな課題・期待がある。「安心コールセンター」の提案は地域にWEコラボの拠点、ホストセンター機能を担う拠点を創ろうというものであり、WEコラボによるムーブメントづくりには協力もしていきたいし、さらなる推進に期待している。

◎ WEコラボ!研究は厚生労働省「平成20年度障害保健福祉推進事業(障害者自立支援調査研究プロジェクト)」の指定を受けて進めています。

◎ WEコラボin東京、まもなく開催です。お待ちしています。

  WEコラボin東京(2009年3月21日)のチラシはこちら→ WE_TOKYO_AD.doc 

<久しぶりの更新です。少し眺/長めのご報告、お付き合い下さいませ。>

 3月21日のWEコラボin東京では今年度の研究報告書(無料配布)をもとに成果報告をさせていただきますが(結局、東京では初めてとなってしまいました)、最後のセッションでは<素敵なゲスト>も交えてWEコラボ2009の研究課題を探求したいと思っています。

 このセッションに先立って、大阪で引きこもり支援に取り組むNPO法人淡路プラッツと、佐賀県でTEACCHを基礎に発達障害支援システムの中核を担っているNPO法人それいゆをそれぞれ訪問し、短時間ですが<ぶつかり稽古>をしてまいりました。

 

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佐賀県はすっかり春。

満開の菜の花と美味しいご当地料理も取材することができ(笑)、WEコラボ2009に向かう充電ができました。

 

 淡路プラッツは代表の田中俊英さんの著書<「ひきこもり」から家族を考える:岩波ブックレット>のインパクトからぜひ訪問したいと思っていたところです。このブログでも過去に紹介したNPO法人み・らいずに紹介いただき、お忙しい中、田中さんにインタビューさせていただく機会を得ました。詳しくは3月21日のセッションで紹介したいと思いますが、主題は<ひきこもり>支援における多分野協働(WEコラボ)の必要性や貢献のポイントです。<ひきこもり>のタイプにもよるが、発達障害が基礎にある不登校支援などはシステムを用意することでかなりの進展が可能であり、そこにWEコラボの大きな芽があること、キーポイントはやはり人材育成~長野で日詰専門官からも指摘された<わかる>から<できる>へ貢献できるような研究と実践でしょう、というお話が印象的でした。

 NPO法人それいゆについては、行動援護研修の検討会で成人支援センターの水野敦之さんと出会い、本物のTEACCHを勉強され実践している方々の凄みを実感したこと、そして何よりも県の事業である「フリースクールSAGA」の運営を受託しているという新聞記事に驚かされたことでした。

 

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フリースクールSAGAは、本当に県庁の総合庁舎にありました。いったい、どのようなことになっているのだろう?と江口寧子理事長のもとへ。

 

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広めの部屋は構造化の考え方にもとづいて、休憩エリア、個別ブース、音楽や映像ルーム、パソコンルーム等に区分されています。写真ではうまく捉え切れていないのですが、使えるスペース、利用できるものを活用して<無いからできない、という泣き言は言わない!>という哲学が実践されていました。

  

 スウェーデンのリソース学校に衝撃を受けて帰国以来、日本でその可能性を探りたいと思っていた小生にとって、ここの新聞報道は「公立のフリースクール?!」を想起させるものでした。実際の仕組みとしては佐賀県の発達障害者支援に関する取り組みの一つ「発達障害者地域支援拠点整備事業」の一環である「発達障害児適応訓練事業(愛称:フリースクールSAGA)」という位置づけです。NPO法人それいゆがすでに実施してきたフリースクールは費用もかかるし、公的な資源としてそのまま広がるものではない。そこで、県の発達障害関連の支援事業の一環に位置づけ(年間800万円弱)、支援決定審査委員会を設けて学校等関連機関の改善努力ではどうしても対応が困難という事例について受け入れるというもの。定員は9名で現在の利用は4名、利用期間は半年が原則。すでに原籍校復帰を果たしたお子さんもおり、国から3年間のモデル事業として指定も受けているということで、いずれ効果測定も含めた報告書が出されるとのことでした。うーん、とても楽しみですし、WEコラボ研究2009としても、ぜひ本格的に学ばせて欲しいという想いを強くした次第です。

 それいゆではプリスクール(就学前)と自閉症スペクトラムの成人を対象とする相談センター・成人支援部のお話も伺い、本物を学び、できるところから実践に移す同法人の凄みと佐賀の未来を痛感してきました。プリスクールの箱としての場所はガラス屋さんの軒先?のようなショールームを借りたところで、外見にはPECSをはじめ、最先端・最前線の自閉症支援ツールが満載のプリスクールとは想像もつきません。百聞は一軒にしかず。WEコラボ2009も足を運び、汗をかかなくては駄目ですね。

 

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ひとりひとりに合わせた視覚支援等のツールが、みっしりと並ぶ内部。狭い中でもたくさんの工夫があり、<学ぶ~実践する~検証する~制度にする>という路線をここでも実現されていました。

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ご覧の通り、プリスクールの概観は普通のおうち、といいますか、物置のように見えてしまいます。中を見学させていただき、改めて振り返ると本当に凄さを実感しました。

  

さて、WEコラボin東京まで1週間。皆さまのご来場をお待ちしております